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スヴャトスラフ・リヒテル :: Sviatoslav Richter

スヴャトスラフ・リヒテル :: Sviatoslav Richter
生没年 生年 20 March 1915 旧ソビエトのウクライナのジトコフ
没年 1 August 1997 モスクワ
文化圏 ロシア
専門 ピアニスト

20世紀を代表するピアニストの一人 スヴャトスラフ・リヒテル。その演奏の特質についてカナダのグレン・グールドが面白い言葉を残しています。ロシアに演奏旅行中の1957年、モスクワ音楽院でシューベルトの最後のピアノソナタ 変ロ長調 D.960を弾いたリヒテルの公演を回想したもの。

催眠術によるトランス状態としか例えようのない境地に私は連れ去られたのです。シューベルトの反復構造に対する私の偏見など吹っ飛んでいました。装飾的だと思っていた細部は有機的な音楽要素として現われました。―実際、そうした細部の多くを私は今でもありありと覚えています。そこで私は思いました。調和しないはずの二つの特質が融合する現場に私は立ち会っているのだ、と。力強い分析的態度が、即興さながらの自由奔放さをとおして現われるその現場に―。 そして、その後リヒテルの録音をいろいろと聴いて確信したことでもありますが、そのとき私は気づいたのです。私は、今日の音楽界が生み出した最も力強いコミュニケーターのひとりを目の前にしているのだと。

ジョン・P.L.ロバーツ編『グールド発言集』みすず書房

リヒテルの家は祖父の代からのドイツ系移民。祖父はピアノ職人だったそうです。父テオフィル Theofill はウィーンでピアノと作曲を学んだ音楽家でした。1915年、リヒテルの生後間もない頃に、テオフィルのオデッサ音楽院教授就任に伴って、一家はオデッサに転居しました。幼少時には父がピアノの手ほどきをしたものの、リヒテルはいわゆる基礎訓練を受け付けず、勝手にさまざまな作品 − 一般的なピアノ曲よりも、むしろ好んだのはオペラの作品とのこと − を弾いて、独学で学んだと自ら回想しています。

オデッサで開かれたゲンリッヒ・ネイガウスのコンサートに感銘を受け、22歳の時、モスクワ音楽院に彼を訪ねてます。ようやく正規の音楽教育が始るのは、この時から。リヒテルがいままで独学と聞いて、既に名教師として名高かったネイガウスは吃驚したそうですが、入門テストの演奏では、隣に居た生徒に「天才的な音楽家だ」と感想を漏らしたほど感心。リヒテルを自ら教えるクラスに引き入れます。

ピアノ以外の教科の成績がふるわず、学校を逃げ出しもするリヒテルを、ネイガウスは陰に陽に救っていたそうです。リヒテルもネイガウスを父のように慕うのですが、彼に何を学んだかについて、興味深い発言があります。

演奏は見事であっても、すべてを皿に盛るようにして出してしまうピアニストを、数多く知っています。コースのなかにどんな料理があるか、聴衆はあらかじめ知っています。いい演奏なんです、いいんですが、・・・・・・わかってしまっているんです。

不意なもの、思いがけないもの、それこそが感銘を生みます。私がネイガウスのもとに見つけにきたもの、そして彼が開示してくれたものは、それでした。私の求めるものに最後の一筆を加えて、明確な姿を取らせてくれたのです。

ブリューノ・モンサンジョン著『リヒテル』筑摩書房

なお、ネイガウスのクラスでは、年は違うもののエミール・ギレリスアナトリー・ヴェデルニコフも同人でした。

学生時代にプロコフィエフの6番・7番ソナタ、第5ピアノ協奏曲を初演。次第に国内でも名声は高まり、1945年には全国ピアノコンクールで一位に。リヒテル自身は渋々このコンクールに参加したそうです。50年代後半から西側諸国にも名が知られ始め、先ずはヘルシンキ、そして1960年にはニューヨーク カーネギー・ホールでのライブへとつながります。北米は肌に合わなかったようで来演数はその後減りますが、欧州諸国を中心に世界各地で演奏活動を行いました。来日の機会も多く、都会に限らず地方でも多くのコンサートを開催しています。

リヒテルにまつわる親日家の側面として、後半生でヤマハのピアノを愛用したこともよく言及される事柄の一つです。ヤマハもリヒテルの行く先々にピアノと調律師を手配するという厚遇を示したそうです。

玄人はだしの絵を描き、演奏会のキャンセルも頻繁ならば、旅先で突然コンサート開催したりと逸話には事欠きません。放浪者気質というのか、人生においても「不意なもの、思いがけないもの」を求めていたようにも感じます。1997年モスクワで死去。

上述のモンサンジョン著『リヒテル』は、映像作品『謎 エニグマ ー 甦るロシアの巨人』との姉妹品。リヒテルへのインタビューを基に伝記の形に記述したもの。本稿の記述にあたって、それが一番正確だろうと頼りに致しましたが、到底ここに取り上げ切れないほど関心事が数多く記載されております。

書籍の後半は、リヒテルみずからの演奏会評・レコード評がおよそ300ページほど並んでいて、寸評ながら大変興味深い内容です。フルトヴェングラーの指揮する録音に手放しの評価をしているところなど大変印象的。自らの録音や演奏会に言及していることも多く、メジャーレーベル、マイナーレーベルを問わず、リヒテル録音への道案内としても有用です。ぜひ機会があれば、お手に取られることをお薦め致します。

晩年のリヒテルがグリーグの小品を頻繁に取り上げたのが少々不思議だったのですが、この書籍の中で回想されている父テオフィルに関する不幸、および、テオフィルがウィーン留学時にグリーグと知己を得ていたことを考え合わせると、亡き父に対するなにかの想いもあったのだろうか・・・と想像してしまいます。


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リヒテルの録音も膨大な数で、ここに挙げるものはその一端でしかありません。時に荒々しかったり幻想的であったり繊細でやさしかったり、というリヒテルのさまざまな演奏がわかるように5アイテム選んでみました。

シューベルトは比較的手に入りやすく安価なRegisレーベルの東京でのライブ録音から1枚選びました。他の盤に比較しても遜色ない名演です。

プロコフィエフの第5ピアノ協奏曲ベルクの室内協奏曲の録音も見事なもの。長らく入手困難でしたが、EMIのIconシリーズで復活!これはEMIリリースの録音を集めた14枚組。価格的にもリヒテル入門にもうってつけのセットです。

室内楽では友人のヴァイオリニスト オレグ・カガンボロディンSQ他との名録音が多数、Live Classicsなどのマイナーレーベルからリリースされています。メジャーレーベルはやはり大曲中心なので、リヒテルの違う魅力が味わえます。モーツァルトのヴァイオリン・ソナタなど、いかにもロマンティックな解釈ですが、共演が崩壊するすれすれを狙うような大変スリリングな演奏!お探しものには、Look4Wieck.comのAmazon.co.jp検索機能をぜひご活用ください。


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関連サイト

Trover.com - In Memorial of Sviatoslav Richter:
リヒテルのファンサイト。英語頁ですが、情報は充実していて、小伝、ディスコグラフィー、世界各地での公演記録などが年表形式で楽しめます。師のネイガウスと現代作曲家シュニトケのリヒテルに関するエッセイの英訳も読めます。

Doremi.com Recorded Richter by Ates TANIN:
リヒテルのディスコグラフィーとしては一番網羅的なものと思います。レーベル名・カタログナンバーは、日々異動が出てくるものですが、曲名さえ判ればAmazonなどのネット・ショップであればかなりの程度検索可能です。

CULTUREKIOSQUE - In Heaven with Richter:
カルチャーキオスクというサイトのリヒテル追悼記事。お薦め録音として20種類ほどに絞ってピックアップしていて、これから聞き始めようという方には参考にしやすいと思います。

LIVE CLASSICS - Sviatoslav Richter:
LIVE CLASSICSレーベルのwebsiteにあるリヒテル紹介頁。このレーベルから出されている商品の紹介も兼ねています。ヴァイオリニスト オレグ・カガンとの共演CDにも言及されていますが、モーツァルト、ヒンデミット、ショスタコーヴィチほか多くのVnソナタが出ていますが、これがなかなかお薦めです!カガンやグートマンらの関連頁もぜひご覧下さい。

Heinrich Neuhaus Web Site:
これはリヒテルに関するものではなく、師ネイガウスのwebsiteです。ネイガウスに師事したイタリアのピアニストが作成した頁とのこと。ネイガウスの伝記の他、ネイガウス自身は勿論、リヒテル他さまざまな周辺人物に関する情報が取得できる面白いwebstieです。

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