依然、現役ピアニストとして活躍を続けるマウリツィオ・ポリーニ。わたしなどにはなんといっても70年代〜80年代の録音のびっくりさせられるほどの腕の冴えが強烈な印象的。聴きはじめたころのイメージは残るもので、なんとなくポリーニも若手だと思って居りましたが、最近の映像では髪も白髪まじりとなっていて、数えればもう70も間近です。
建築家を父に、ピアニストを母に持つポリーニは、第二次大戦中の1942年 ミラノに生まれました。先ずは生地の音楽院に学び、在学中から世界のコンクールに参加し、好成績を修めています。1960年、音楽院卒業年出場したショパン・コンクールでは、アルトゥール・ルービンシュタイン以下、全審査員から満場一致で一位に! 若干18歳の快挙です。この際、ルービンシュタインが「この若者は、ここにいる誰よりもうまい!」と言ったそうで、ポリーニといえば大概引用される逸話となっています。
この決定的な成果を得た後でも、ポリーニは直ちに演奏活動に出ることはせず、数年の間さらなる研鑽を続けます。同じくイタリア出身の名ピアニスト ミケランジェリのもとに学んだのも、この時期のことだそうです。
ポリーニが再び公の舞台に立つのは1960年代も後半になってから。その後の現在に至るまでの活躍は、みなさま耳にすることも多かったかと思います。90年代も近くなると、多少腕が衰えたという声も聴かれましたが、それは致し方ないこととも思います。この頃、ベートーヴェンの連続演奏会を行ったとのニュースも聞いて、ポリーニも年を取って、いろいろ思うところもあるのだろうと思ったことを覚えております。
ポリーニは、同時代の音楽の紹介を使命の一つと考え、同郷のノーノをはじめ多くの現代作曲家との交遊も多いとのこと。これは演奏会でのレパートリーでも、リリースされている数々の録音からも伺うことができます。
ポリーニの完璧と言われる技術、冴え渡る音と颯爽とした躍動感は、あたかも曲が生まれかえったかのように感じさせます。ここでの推薦盤も、ドイツ・グラモフォンからのリリース第一弾、ストラヴィンスキー≪ペトルーシュカ≫やウェーベルンのピアノ曲を収めた一枚を中心に70-80年代の傑作を集めてみました。私がいまもってよく聴くのはこの≪ペトリューシュカ≫の入った一枚、ショパンの≪練習曲≫、シューマンの≪交響的練習曲≫の三つです。ポリーニについて、機械的だといった意見もありますが、この三枚の目覚しさ、輝かしさにはそんなことはどうでもよくなって、ただ聴き惚れてしまいます。
その後の展開を示す一端として、「〜名盤選」などで評価の高いベートーヴェンの後期のソナタを入れました。わたし自身はどこまで面白いか少々疑問もありますが、これはみなさまでご判断いただきたいものと思います。
この他にも、同じイタリアの指揮者アバドと組んだバルトークの協奏曲など、話題をさらった録音は数々あります。お探し物には、ぜひLook4Wieck.comのAmazon.co.jp検索機能をご活用ください。
梶本音楽事務所のポリーニ紹介頁:
梶本音楽事務所にあるポリーニ紹介の一文です。不思議なことに日本語頁は大したものではないのですが、英語頁の方が分量が多くて、情報も詳細ですので、こちらをリンクいたしました。
The New York Timesのポリーニ関連の記事一覧:
米紙ニューヨーク・タイムズのポリーニ関連の記事一覧。最近のコンサート評・CD評はもちろん、インタビューもいくつかございます。