アルゼンチンはブエノスアイレスで生まれたアルゲリッチ。70も近くなった今でも、カリスマ的な人気を誇るピアニストです。
アルゲリッチの生年は1941年。幼少時からピアノの才能を発揮して、わずか8歳にして、ベートーヴェンやモーツァルトの協奏曲をコンサートで披露しました。
10代半ばには、家族と共にヨーロッパに転居。その後は、フリードリヒ・グルダ、ニキータ・マガロフ、ベネデッティ・ミケランジェリといった名だたるピアニストに師事しています。
ピアノの研鑽を続ける最中、1957年にはジュネーヴ国際コンクールとブゾーニ国際コンクールで優勝。その後、1965年のショパン・コンクールでも優勝し、世界の愛好家に広くその名が知られました。ショパン・コンクール直後の録音が、近年EMIからリリースされて、颯爽とした演奏を楽しめます。
このように書いてしまうと、典型的なサクセス・ストーリーに聞こえてしまいますが、アルゲリッチの内面には、表には見せない様々なことが去来したようです。年月を経ると共に、次第にソロ活動よりも室内楽の共演が増え、新進演奏家との支援にも積極的に関わるようになっていきましたが、これもいろいろと思うことあっての行いなのでしょう。
アルゲリッチは来日も頻繁。1998年から別府市と協力して開催しているアルゲリッチ音楽祭では、日本に限らずアジアの若者に今までにない形での音楽との出会いの場を提供しています。
まったく個人的な感想ですが、私は長らくアルゲリッチの長所を、型破りな感性、直感的、野性的、ダイナミックな表現といった言葉で捉えていましたが、様々な時代の様々なピアニストを聴く内に、そちらの方は、あまり重視しなくなって来ました。最近は、そのような”激しい”言葉よりも、自分への正直さですとか、シンプルな優しさといったそんな言葉が浮かびます。
聴きに行ったコンサートでの、重たげにお辞儀をする様子や、柔らかな笑顔などが大変印象的でした。
CDについては、アルゲリッチの幼少時から現在まで、さまざまな年齢・作曲家からPickUp!してみました。とは言え、5枚と絞るのはやはり難しいものです。ぜひ、Look4Wieckの検索機能を使って、いろいろと探してみてください!
2009/07/13追記:輸入盤で、独グラモフォンがアルゲリッチの録音集を発売開始!2008年に発売されたソロ録音集に続き、2009年8月協奏曲集がリリースされます。詳細曲目は下の記事をご覧下さい。
・アルゲリッチ the Collection 1 Solo Recordings(8枚組)
・アルゲリッチ the Collection 2 the Concertos Recordings(7枚組)
自著はありませんが、アルゲリッチについて書かれたものであれば、青柳いづみこさんの著作がピアニストならでは視点で書かれていて、興味深いものでした。
Excerpts From A Rare Interview With Argerich By Dean Elder:
An Interview with Martha Argerich by Radio 3 in Italy:
(多分)ジャーナリストのAndrys Bastenさんのwebsiteにあったインタビュー2本。幼少時の回想、ピアノ演奏への考え、他の様々なピアニストへの言及 ― アニー・フィシャーを尊敬しているとあって、ちょっと吃驚しました ― など大変面白いものです。
解釈は何かと問われ、I think interpretation is trying to liberate what one is
unconscious aboutと答えているのが印象的。この言葉をどう解釈すべきか、さまざまな思いにかられます。
YouTube : 1972年6月のインタビュー映像:
YouTubeにあったインタビュー映像。モーツァルトの演奏が特に気に入りました。フランス語なので、私も半分ほども理解できずにおります!
別府アルゲリッチ音楽祭のwebsite:
この音楽祭は、毎年4月ないしは5月に行われています。こちら関東に居るため、TV放送などで一部を知るだけですが、行ってみたい音楽祭の一つ。
Alink-Argerich Foundation:
アルゲリッチが創設者の一人となっている若手ピアニストのための財団のwebsite。コンペティションも主催しています。毎週なにかしら更新。正しい経歴情報(!)の頁や、もう一人の創設者グスタフさんのよしなしごと頁など、クスッ!と笑ってしまいます。
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