マティスの唱うモーツァルトの歌曲やオペラを聴くと、知らず朗らかな気持ちになってしまいます。その歌声は優しく、あたたかく響き、神経質といった類のものとは一切無縁。
声は比較的に細く、情念を感じさせるような劇的なものではありませんが、こんな風に清純さを感じさせる声もそうそうなく、それこそ魅力と思います。朗々とした歌が苦手な方にはマティスで楽しまれてみてはいかがでしょうか?
生れ故郷のスイス ルツェルン音楽院で声楽を学んだマティス。デビューも故郷の歌劇場でした。その時の役柄は、モーツァルト《魔笛》でタミーノやパパゲーノを導く少年の一人だったそうです。
その後も、ベルリン、バイエルン、ヴィーン、ニューヨークといった名立たる歌劇場、また、ザルツブルグやグラインドボーンなどの伝統ある音楽祭で活躍しました。
日本にも往年のファンが多く、可愛らしい顔立ちも手伝って、ベームの指揮する《フィガロの結婚》のケルビーニ役で評判を取りました ― この話は各所で目にすることも多いと思います。
夫は指揮者兼ピアニストのベルンハルト・クレー Bernhard Klee。
マティスは、既に舞台の第一線からは退いていますが、彼女を選んだ巨匠達の名録音を通じて、今でもその歌声を楽しむ事ができます。昨今、埋もれていたオペラ公演のライブ映像のリリースも増えたので、ファンには嬉しい話です。
ミサ曲やオラトリオのレパートリーも多数。無垢で清澄な歌声は、こういった宗教曲にもふさわしいものでしょう。
マティスと言うと、やはり、ベームの『フィガロ』。スザンナ役でも、ケルビーニ役でも評判を取りました。ご主人クレーのピアノ伴奏で歌ったモーツァト歌曲集も最初の一枚にお薦めです!
この演奏家に関する書籍のご紹介はありません。
Hyperion Recordsのwebsiteの略歴:
ハイペリオンは、マティスが比較的年を取ってからリート曲などをリリースしたレーベルです。
Bach-Cantatas.Comのマティス紹介頁:
こちらは詳細の経歴が出ており、活躍した歌劇場も細かく知ることが出来ます。
ご主人のベルンハルト・クレーの経歴:
序でと言っては失礼ですが、クレーの経歴が所属事務所のwebsiteにあったのでご紹介します。(こちらには、マティスの情報はありません。)