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ロベルト・シューマン著『音楽と音楽家』― 情熱を言葉に!

シューマン著『音楽と音楽家』の商品写真

クラシック音楽名著のご案内ではいままでシリーズ物のみご紹介しておりましたが、本日は初めて一冊の本を取り上げたいと思います。第一回にふさわしい書物でしょう。ロベルト・シューマン著『音楽と音楽家』を取り上げます。

著者は勿論あのドイツのロマン派の作曲家シューマン(1810-1856)

シューマンの、情熱に溢れ、時に夢見る様で、時に陰鬱で、激しくもなれば、この上なく優しくもなる、活き活きとした素晴らしい音楽に、殆どの方が好感、さらには愛着を持つものかと思います。

そんなシューマンは、出版業の実業家であった父の影響もあってか、自ら雑誌を発行し、音楽評論の執筆者としても大いに活躍。過去・現在・未来の音楽、自国の作品、外国の作品の普及に力を入れました。

シューマンの言葉は、その音楽同様、情熱に溢れ、活き活きとして居り、思い切りのよい断定の背後には、シューマン自らの音楽家としての判断が賭けられています。

そんなシューマンの見事な言葉を読んでみたい!それがこのロベルト・シューマン著『音楽と音楽家』で適います。

この岩波文庫からの一冊は、既に長い時を経た翻訳で、今の読者の皆様には少々読み難いこともあるやも知れません。収録された文章も幾らか取捨選択されたものなので、できれば増補改訂の新訳も望みたいところではあります。しかし、ないものねだりは兎も角として、現代邦訳されている唯一のシューマン自らの文献をぜひ楽しんでいただけたらと思います。

シューマンは盟友のメンデルスゾーンは勿論、リスト他ドイツでも活躍していた音楽を紹介することもあれば、ショパンなど外国の動向もいち早く掴んで記事にします。ショパンを評した言葉は有名で、作品2を見て、「諸君、帽子をとりたまえ、天才だ」と。実にシューマンらしい小気味の良い表現と言えましょう。

ベルリオーズの幻想交響曲を事細かに論じた一文も面白いですし、ベートーヴェンの再評価がなされているのも興味深いものです。シューマン自身、あまり音楽的な詳細を語ってもどうかと思っていたようで、文学的(?)な描写を多用して居り、音楽的素養が無くても十二分に楽しめるものと思います。

その他、有名な文章と言えば、ブラームスに未来のドイツ音楽を託したエッセイ、そして、なんといってもシューベルトのハ長調の大交響曲を発見に関する報告が挙げられるでしょう。後者はこれだけでもこの本を手するに値する、敬意に溢れた素晴らしい文章です。

シューベルト没後11年が経とうとしていた1838年、シューマンは、シューベルトの兄フェルディナントの家を訪問して、陽の目を見ずに埋もれていたハ長調の大交響曲を見つけました。これが、シューマンが言うように 「この交響曲を知らない人はまだシューベルトを知らない」 という大傑作。シューマンは早速フェルディナンドの許諾を取り、ライプチヒのメンデルスゾーンの元にスコアを送り、初演への道をつくります。その時の感激を記したものが、『音楽と音楽家』に収められた「フランツ・シューベルトのハ長調交響曲」という短文。試みにその一部を引用しましょう。

 この曲の模様を少しでも知らせようと思ったら、交響曲全体の筋を小説でも書くように書かなければなるまい。ただ、あんなに感動的な第二楽章については、ぜひ一言しなければ気がすまない。この中でホルンが遠くから呼ぶ声のように聞えてくるところがある。これをきくと、僕はこの世ならぬ声をきくような気がする。そうして天の賓客の忍び足で通ってゆく音を、傾聴するかの如く、全楽器ははたと止んで耳を澄ます。
 この交響曲は、僕らに、どんなベートーヴェンの交響曲にも見なかったほどの効果を与えた。芸術家と芸術の友はみな口を揃えて誉めたたえた。それから、これを極めて綿密に検討した大家からきかされた言葉は、(彼がどれ程研究したかということは素晴らしい演奏ぶりをみてもよくわかった)本当にできることなら、シューベルトのところへ持っていってやりたいようなもので、おそらくシューベルトにしてみれば、きっとこれが無上のうれしい便りだっただろう。この曲がドイツに根を生やすまでにはまだ幾年もかかるだろうが、忘れられたり見失われたりする心配に至っては、全然ない。この曲は永遠の青春の萌芽を含んでいる。
 こうして、たまたま墓参に行った帰りに故人のみよりを想いだしたことから、僕は二つの報酬を得た。第一の報酬はあの日に貰った。というのは、ベートーヴェンの墓で、僕は—鉄ペンをみつけた。僕はこれを大事にしまっておいて、今日のような晴れの機会にしか使わないことにした。願わくば、このペンによって記したものがこの世の賞賛を得んことを。—

*****

上の映像は、セミプロ(?)の方の自演投稿映像。曲目は《クライスレリアーナ》。

ここで余談ながら、少々レアなおすすめとして、クラウディオ・アラウ Claudio Arrauの演奏するシューマンのピアノ曲《謝肉祭》Op.9を取り上げようと思います。それは古い録音でノイズは入るのですが、若かりし日の素晴らしい録音がPearlから出ています。併収のウェーバーのピアノ・ソナタも好演。その他ショパンやブゾーニの曲なども集めた二枚組。よろしければぜひどうぞ!

クラウディオ・アラウ(P) 初期録音集 The Early Recordingsの商品写真クラウディオ・アラウ Claudio Arrau(P)
初期録音集 The Early Recordings
輸入盤

曲目詳細は米国Amazonの頁でご覧下さい。

ではまた次回!





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