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シリーズもののご紹介 : 新潮文庫『カラー版 作曲家の生涯』

今回の「いろんなところでクラシック」は久しぶりに違うカテゴリーで!

本日は、新潮文庫『カラー版 作曲家の生涯』シリーズを、まとめてご紹介いたします。

このシリーズは1980年代半ばから刊行されたもの。景気もよくなって、外来演奏家も盛況でしたから、当時のクラシック・ブームをにらんだ企画ということでしょうか?10冊が刊行されまして、どれも文庫で200頁前後という厚さながら、実によい出来です。最近、まとめて読み返してみて、結構感心し直しました。

このシリーズは、作曲家の興味深いエピソードを多々交えて、その生涯を手際よく紹介。巻末には、作品一覧年譜、参考文献が付けられていて、後学にも役立ちます。ここまでは伝記なら当たり前に思えるでしょうが、飽きずになだらかに読める伝記は結構貴重です。思い切って楽曲分析を省いて、作曲家の人を捉えることに絞った姿勢はそれはそれでいいのだと思います。

このシリーズの美点は、なんといっても、ふんだんに使われるカラー写真。数多く載せられたこのカラー写真が、読み手のイメージをいっそう鮮やかにします。作曲家が住んだり訪れた街並みは勿論、手紙や楽譜などの筆跡、生前使用した楽器、知人・友人らの肖像画や写真までまざまに紹介。写真に付された、こぼれ話がまた大変面白いもので、いろいろ他に読んでいる方にも、発見が多いと思います。

音楽好きでヨーロッパを訪れる方には、観光の目安として使ってみることもできるでしょう。

いまだに新品で売られているものもありますし、古本でも状態の良いものがありますので、ぜひお手に取られることをお奨めします。下にそれぞれのリンクをまとめましたが、ちょっと面白い部分をご紹介までに付しておきました。


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『バッハ』 樋口隆一著 205頁

少年時代のバッハが兄ヨハン・クリストフの秘蔵の楽譜を盗み見ようとして・・・

そこで一計を案じた。うまいことに、その曲集は格子戸だけでしきられた戸棚の中に置かれていたので、毎晩、家の者がみな寝静まるのを待って、格子戸越しに小さな手を入れ、紙綴じだった曲集を丸めて取り出し、月の光のもとで六ヶ月かかって書き写したのである。
写譜が完成したセバスティアンは有頂天だったが、ついうっかりと弾いてでもみたのだろうか、たちまち兄に知られてしまい、写譜した曲集も取り上げられてしまったという。




『モーツァルト』 田辺秀樹著 206頁

6際の頃、シェーンブルン宮殿に招かれ女帝マリア・テレージアに御前演奏を披露した際に・・・

シェーンブルンではもうひとつの印象的なエピソードがある。ヴォルフガングが演奏会の途中で、当時のウィーンの有名作曲家ヴァーゲンザイルに傍聴と譜めくりを頼んだというものだ。六歳の子供に「あの人は音楽のわかる人ですから」と言われたヴァーゲンザイルは、きっと苦笑したことだろう。




『ベートーヴェン』 平野昭著 206頁

ベートーヴェン没後の1845年、生地ボンのミュンスター広場のベートーヴェン像除幕式。列席したプロシア国王ヴィルヘルム四世は・・・

幕が引かれると、国王は「何たることか!奴はこちらに尻を向けているぞ!」と叫び、傍らのアレクサンダー・フンボルトが「然り!彼は生前からいつも無礼な人間でございました」と答えて、一同の爆笑となったという。




『シューベルト』 前田昭雄著 206頁

晩年のシューベルト、1826年7月25日付けの手紙から・・・

特に好評だったのは、近作のピアノ・ソナタを演奏した時でした。かなりよく弾けたと思います。ある人たちは、ぼくの手の下で鍵盤が歌っていたと言ってくれました。もしそうだとしたら大変嬉しいことです。ぼくには、達者なピアニストがよくやる、あのたたきつけるようなタッチが我慢できないのですから。あれは耳にも心にも決して楽しいことではありません―




『ショパン』 遠山一行著 199頁

友人であるフランスの画家ドラクロワのショパン宛の手紙から・・・

人生は移ろいやすいというのに、お互いに顔を合わせていないのは寂しいことです。僕は君を心から尊敬していますし、君はわれわれのような不幸な種族に歓びをもたらしてくれる人間のひとりだと思っています




『ワーグナー』 三光長治著 206頁

バイエルン王ルートヴィヒ二世に招かれて苦境を脱したワーグナー・・・

ワーグナーはルートヴィヒに招待されて風向明媚なホーエンシュヴァンガウ城に滞在し、王と親しく膝を交えながらのどかな小春日和の日々を楽しんだが、そのとき早くも不吉な予感が胸に兆したのか、「こうした結構づくめのことにはいつか必ず悪魔のツケがくる」とメモにしるしている。その予感は一月足らずのうちに的中し、ワーグナーはわずか一年半でミュンヘン生活に終止符を打ち、バイエルン王国を退去することになった。




『ブルックナー』 土田英三郎著 206頁

1977年12月、第3交響曲の初演にて・・・

初演当日は曲目が多すぎてやたらに長い演奏会だった。ブルックナーの曲は指揮者もオーケストラも明らかに練習不足だった。反対派の野次にさらされたが、第三楽章までは喝采も結構多かった。ところが、第三楽章が終わると聴衆はぞろぞろと退去し始めた。ムジークフェラインの大ホールに最後まで残ったのは平土間に七人、全部でも二十五人そこそこだった。曲が終わると楽員もそそくさと引っ込んでいった。舞台にはブルックナーが放心したように一人立っていた。ふと自分の楽譜をかき集めて小脇に抱え、ソフト帽をかぶり、振り向いて、空っぽになった客席を何とも言えないまなざしで眺めやったという。




『ブラームス』 三宅幸夫著 206頁

シェーンベルクの論文。ブラームスから学んだこととして・・・

1.モーツァルトを通じて私のなかに無意識に入り込んできた多くのもの。とりわけ不規則な拍節法、およびフレーズの拡大と縮小。
2.表現の造型性。つまり明瞭性を確保するのに大きなスペースが必要なとき、それを節約したり惜しんではならない。いかなる構造も細部まで仕上げること。
3.楽曲構造の体系化
4.節約、それでいて豊かであること。




『チャイコフスキイ』 森田稔著 206頁

法務省役人時代の青年チャイコフスキー。妹アレクサンドラへの手紙から・・・

音楽理論を習い始め、とてもうまく行っていることについては、もう書いたように思います。僕のかなりの才能(自慢だとは思わないでください)を考えれば、この分野で幸運を求めないのは得策でないと思うでしょう?僕が恐れているのは個性の無さだけです。おそらく怠け癖が例の働きをして、僕もそれに勝てないかも知れません。もしそれさえなければ僕が何者かになれることを約束できます。




『マーラー』 船山隆著 218頁

ナターリエ・バウアー=レヒナーが伝える1900年夏 − 第4交響曲完成間近のころ − のエピソード。散策中に祭りにでくわして・・・

回転木馬、ぶらんこ、射的場、人形芝居などから数え切れないほどの手回しオルガンの響きがきこえてくるだけでなく、軍楽隊と男声合唱もそれに加わり、これらのグループは、同じ森のなかでまったくお互いに注意を払うことなく、「信じがたいような音楽の地獄絵」をくりひろげていた。これを耳にしたマーラーは、「聞えるかい?あれがポリフォニーというものだ!」と語ったという。(中略)「諸主題というものは、これとまったく同じように、まったく異なる方向から出現しなければならないのだ。そしてそれらの主題は、リズムの性格も旋律の性格もまったくちがったものでなければならない。音楽のポリフォニーと自然のポリフォニーの唯一の相違点は、芸術家がそれらに秩序と統一を与えて一つの調和にみちた全体を作り上げることだ。」






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