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| フリッツ・ラング監督 『死刑執行人もまた死す』 (1943年、米) |クラシック音楽名盤,名作紹介|Look4Wieck.com

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フリッツ・ラング監督 『死刑執行人もまた死す』 (1943年、米)




アメリカに渡ったフリッツ・ラングの撮った傑作サスペンス『死刑執行人もまた死す』。脚本にはやはりアメリカに亡命していたベルトルド・ブレヒトも参加。

舞台はナチ占領下のプラハ

まず登場するのは、死刑執行人と渾名のついたナチスの副総督ハイドリヒ。この登場シーンで、ハイドリヒは、わざと杖を落として、他人にそれを拾わせますが、このようなささいなシークエンスで、偏執的人物像を示すのはいかにもフリッツ・ラングです。ハイドリヒは、 この後すぐに、暗殺者の手によって斃れますが、実はハイドリヒ自身実在の人物であり、この暗殺事件も映画製作の前年、実際に起こったことでした。ラングはインタビューで、ハイドリヒ暗殺の10日後に、ブレヒトに呼ばれてこの作品の脚本作りに入ったと話しています。*1

さて、その暗殺実行者が主人公である地下活動家スヴォボダですが、ナチスの手早い処置で街が封鎖され、逃亡がままなりません。半ば偶然に、大学教授ノヴォトニーとその娘マーシャに匿われ、一旦は胸をなでおろすのですが、市民を人質に密告を促すナチスは、ノヴォトニー教授を捕らえてしまいます。その命乞いに向かった娘が、秘密があるのではとかえって疑いを掛けられて・・・ここから話は二転三転!!

最後は(一応の)大団円に収まるのですが、このストーリーの展開は最後まで予想を裏切りますし、それをテンポ良く映像化するラングの手腕も見事なもの。二時間もあっという間です。

ラングは、先週紹介した『 M 』でもそうでしたが、単純に悪役を悪役と描きません。悪役もまた個性的ですし、時にストーリーは、逃げる側の視点から、追い詰める側に転換。これがまた、作品を重層的にし、また、活気づけているようにも思います。

*****

この作品では、スメタナの交響詩『我が祖国』が使われます。舞台といい、内容といい、そうあるべきという選曲でしょう。ついつい作品にのめりこんで、細かくチェックするのを忘れましたが、殆どは第二曲《モルダウ》からだったと思います。

ちなみにこの映像は、盛岡の愛好家オーケストラの投稿映像とのこと。

祖国愛を唱う楽曲ですから、やはり名盤・推薦盤は、チェコの指揮者と楽団から選びましょう。

まずはラファエル・クーベリック

彼は何度もこの曲を録音していますが、ここで取り上げるのは1990年に行われた《プラハの春》音楽祭での実況録音。この模様はTVで特集番組も組まれたので、お覚えの方も多いかと存します。

Smetana: Má Vlast
Rafael Kubelik(Cond)/Orchestr Ceská Filharmonie
輸入盤


1948年、共産主義化する故国を離れ亡命したクーベリックですが、半世紀を経た1989年、漸くチェコは民主化。クーベリックはこの頃、病に倒れますが、その後、奇跡的に復帰して、翌年の音楽祭に参加・・・こういった話を聞くと、この録音は、誰にも何の気兼ねもなく演奏できるという喜びが溢れているようにも感じます。

もう一枚ご紹介するのは、クーベリックより一世代前のターリヒ指揮のもの。演奏は同じく、ただし一世代前の、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団。

Smetana: Má Vlast
Vaclav Talich(Cond)/Orchestr Ceská Filharmonie
輸入盤


ターリヒの録音はアーティキュレーションがもっとはっきりとしていて、描かれた情景が鮮やかに浮かんでくるようです。モノラルですが、こちらもかなりお奨めです!

*****

ここでもう一つ!DVDですが、是非ご紹介したい作品があります。チェコの指揮者ではなく、《我が祖国》全曲でもないのですが、はずすのはあまりに惜しいもの。

名DVD 指揮者の軌跡Vol.2 フェレンツ・フリッチャイ/スメタナ交響詩《モルダウ》
国内盤

この名指揮者の軌跡は、リハーサル風景と本番の演奏を入れたもので、指揮者がオーケストラとどのように音楽を作って行くのかが知れて興味深いものですが、このフィリッチャイの作品はその中でももっとも面白いものの一つと行って良いのではないでしょうか?

演奏されるのは、《我が祖国》の《モルダウ》だけなのですが、是非に!!とお薦めしたいものです。

リハーサルでは、川の流れがどう生まれて、どこを流れていって、、、とフリッチャイはストーリーを身振り手振りを交えて描きながら、かつ、ところどころ技術的な指示も含みつつ進めていきますが、音楽がより面白くなる様には実に感心させられます。

オーケストラは南西ドイツ放送交響楽団(現シュトゥットガルト放送楽団)、フリッチャイ自身はハンガリー出身ですが、自分は「東欧出身だから」と農民の婚礼場面に田舎風のリズムのアクセントを付けて行くところなども見事です。

1960年の収録で、フリッチャイは長らく病に冒されており、手術をしては小康を得ると晩年の姿です。しかし、画面で見れば、確かに痩せ細っているかも知れませんが、目は好奇心に溢れているようで、実に闊達とした身振りで、声も朗々として時に歌いながらといった様子。

素晴らしいDVDと思います。






*1 フリッツ・ラング『映画監督に著作権はない』筑摩書房。現在、絶版中のようです。リンク先の中古価格は非常に高いですが、古書店街を歩けばもっと安く手に入ると思います。





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