今週のいろんなところでクラシックはクリスマスにぴったりの映画、シャロン・マグワイア監督の『ブリジット・ジョーンズの日記』です!
恋人と過ごすに映画でもとなったときにはぜひどうぞ!といっても面白いコメディなので、お一人で過ごす方にも悪くはない内容です。2001年の作品ですが、ヒロインを演じたレニー・ゼルウィガーの体当たり演技が評判になりましたのでお覚えの方も多いのでは?
私がこの作品を見て思い出したのは、ロブ・ライナー監督の『恋人たちの予感』。これはメグ・ライアンとビリー・クリスタルが主演のラブ・コメディで1989年のアメリカ映画。二つの作品を並べると、結構骨格は手堅い古典的なコメディで、女性が主人公というところで似ているところがあるなぁと。でも、10年ちょっとの製作年の差によるギャップとか、アメリカのイギリスの違いといったものも同時に強く感じます。
あらすじを言ってしまうと、三十路を超えた出版社勤務の等身大の女性ブリジット・ジョーンズが、お酒とタバコにつかるなんということもない日常でヘマを重ねつつも、幼なじみの上流階級の弁護士ダーシーとの再会がいがみあいからすれ違いに発展し、最後はハッピーエンドになる・・・というもの。こういうと典型的に思えますが、『ノッティングヒルの恋人』・『フォー・ウェディング』の製作陣が撮っただけあって、細部の描写がリズムの緩急も手慣れていて笑いながらも感心してしまいます。
レニー・ゼルウィガー演ずるブリジットの観察は、自分自身にも他人にも向けられていて、これが微妙にはずれた観察ながらも、時にはズバリと本質を言い当ててで、「わたしもそう思う!」・「それってあるある!」なんて感じる方も多いと思います。
ブリジットとダーシーの間にブリジットの上司の色男ダニエルが割り込んで狂言まわしになりますが、これを演ずるのはヒュー・グラント。ダニエルは、仕事はできるが色男のダメ男でちょっとした卑劣漢。この役にヒュー・グラントがかなりはまり役です。
はまり役というと、ブリジットに恋をする弁護士ダーシー役のコリン・ファースがまたすごくはまってます!
これが白馬の騎士タイプな立派な弁護士さんなのですが、コリン・ファースのちょっと硬い表情と毅然とした態度が男子かくあれという立派さで・・・
そもそも、この映画の原作は英紙インデペンデントに連載されたコラムですが、これを書いたヘレン・フィールディングは、コリン・ファースが演じたドラマ『高慢と偏見』のダーシーのファンで、弁護士ダーシーのイメージもそこから作ったものだとか・・・
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この映画で使われた曲は、ほんのちらっとながらヘンデルのオラトリオ《メサイア》。日本に於ける年末・年始の第9は、イギリスでは強いて言えば《メサイア》と聞いたことがありますが、映画の中でも、年末のチャリティの催し物か何かで子供がベルで演奏するといった使われ方だったと思います。劇中のTVから数秒流れた程度ですが、季節感を表すにもってこいということでしょうか?
映像は、NaxosのYouTube公式チャンネルに見つけたもの。
ヘンデルは1685年ドイツのハレに生まれた音楽家ですが、四十歳を過ぎた頃にイギリスに帰化します。《メサイア》も帰化してから後の作品で、ロンドンで自作公演の失敗が続いた中、アイルランドのダブリンから公演依頼を受けて1741年に作曲したもの。初演は翌1742年の4月13日、ダブリンのフィッシャンブル・ミュージック・ホールで行われました。
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さて、ヘンデルのオラトリオ《メサイア》の推薦盤!録音がいろいろある割にはどれが決定盤というのも難しいですが、古楽器の演奏で定番というとガーディナー指揮/イングリッシュ・バロック・ソロイスツの録音を挙げることになるでしょうか?割合早めのテンポで、きびきびと劇的に仕上げて過不足なしという演奏。
Händel: Messiah
John Eliot Gardiner(Cond)/English Baroque Soloists
Catherine Robbin, Margaret Marshall他
・輸入盤
映像ものも幾つかあって、上の映像のヘルムート・リリング指揮のものなら、
Händel: Messiah arr.by W.A.Mozart(1789)
Donna Brown, Cornelia Kallisch, Roberto Sacca, Alistair Miles
Gächinger Kantorei, Helmuth Rilling(Cond.)他
・輸入盤
《メサイア》は元々英語の曲ですが、ここでリリングは、モーツァルトがドイツ語ver.にアレンジしたスコアを使ってのドイツ語歌唱での録音。
古楽派の雄と言えば、忘れられないクリストファー・ホグウッド指揮のDVDも出ています!
G. F. Handel - Messiah / AAM, Hogwood
・輸入盤
CDに戻って、モダーンなものでいくと、例えばネヴィル・マリナー指揮/The Academy of St.Martin-in-the-Fieldのものなどはヒューマンな表現と言いますか、全体的にもマリナーらしくうまくまとまっていて取っ付きやすいかと思います。このマリナー盤は1843年ロンドンのコヴェントガーデン初演時のスコアに基づいているとのことで、ところどころ普段聴くメサイアと変わっているのもちょっと面白いところ。
Handel: Messiah
Neville Marriner(Cond)/Academy of St. Martin-in-the-Fields
Elly Ameling, Philip Langridge他
・輸入盤
重厚な音楽が好きな方には、オットー・クレンペラー指揮の録音がお薦めです!クレンペラーらしく、遅めのテンポで低音のアクセントがずしりずしりで、上の二枚とは随分違った壮大な曲になります。歌手陣もシュヴァルツコップ他すごいメンバーです。
ヘンデル:オラトリオ《メサイア》
オットー・クレンペラー指揮 / フィルハーモニア
管弦楽団、エリザベート・シュワルツコップ、
ニコライ・ゲッタ他
・輸入盤
他にもトレヴァー・ピノック指揮、カール・リヒター指揮とさまざまな名録音がありますが、お探しの際はAmazon Classical Music Search βをぜひご活用ください!
では!