『結婚できない男』名曲選 第二回では、オペラや歌曲を中心に名盤をご紹介いたします!
第4話、休日の仕事場で主人公がかける曲は、シューベルトのリート『魔王』。
リートとは、ドイツやオーストリアの伝統的な歌曲様式です。古くは中世期のミンネジンガー(抒情詩人)に歴史をたどることができますが、現在の形の芸術的歌曲としては、18世紀末ごろに形式が整えられたそうです。
シューベルトは「歌曲王」という渾名もありますが、30余年の短い生涯におよそ600曲のリートを書いております。メロディもさることながら、微妙に変化する和音の進行がこちらの心のひだを開いて行くような名曲が多くあります。
やはり、推薦はザ・ベスト・オブ・シューベルト(国内盤)。ピアノ伴奏はジェラルド・ムーア。他にも、ゲーテの詩による『野ばら』など多数収録。
ザ・ベスト・オブ・シューベルト
フィッシャー=ディースカウ(歌)&ジェラルド・ムーア(伴奏)
・国内盤
もっと、お聴きになりたい方には、EMIから出ている6枚組みボックス(輸入盤)が現在手に入りやすいセットとなるでしょう。ジェラルド・ムーアとカール・エンゲルが、ピアノ伴奏をつとめています。
ディースカウはムーアと再び組んで、Deutsche Grammophon社から、さらに浩瀚な全集を出していますが、2007年現在一部在庫切れのようです。演奏の質は、全体として見れば、私にはEMI録音と甲乙付けがたく思えます。
2008年3月31日注:独Grammophonのフィッシャー=ディースカウのシューベルトの録音は20枚+ボーナス1枚の浩瀚なセットで出ておりました。
いまさら何を言う可くもない、折り紙つきの名唱です。シューベルトの歌曲の全貌を知りたいという際にはぜひどうぞ!
なお、《魔王》だけを18人の歌手がつぎつぎに歌うCDもありますので、ついでながらご紹介。
18人の名歌手によるシューベルト:魔王
リリー・レーマン、ロッテ・レーマン、E・シュヴァルツコップ、中山梯一、クリスタ・ルートヴィッヒ、フィッシャー=ディースカウ他
・国内盤
オペラのアリアも二曲ありました。
ロッシーニの《セヴィーリャの理髪師》とプッチーニの《ジャンニ・スキッキ》。前者で定評があるのは、二つの録音。
アバド盤は、1971年の録音。オーケストラはロンドン交響楽団。アバドの明晰・軽快な音楽作り、ベルガンサ演じるヒロインのロジーナ、ヘルマン・プライ演じる軽妙なフィガロが評判となりました。
パタネ盤は、1988年録音。二十歳そこそこのチェチーリア・バルトリによるロジーナが見事とされています。
《ジャンニ・スキッキ》の名録音は、少々選びがたいものです。 テバルディがラウレッタを歌うデッカ盤になるのでしょうか。
ご興味の有る方はAmazon Classical Music Search β頁で、アリア集なども含めてご検索ください。
それでは!
次回、また、お目にかかるまで。
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