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永井荷風 『ふらんす物語』其之壱



明治42年(1909)刊行の短編集『ふらんす物語』は、その前年の『あめりか物語』とあわせ、およそ5年にわたる荷風自らの欧米経験を基として生まれました。

官僚であった父久一郎の勧めに従って、荷風がアメリカに旅立ったのは明治36年(1903)年。初めは留学の形でしたが、やはり父の計らいで、後には横浜正金銀行の支店勤務をしております。

久一郎は、この海外生活を通じて、荷風が実業の道を選ぶことを望んだようですが、結局は、文学の才能をいっそう育むことになりました。そもそも、銀行も、帰国前に退職してしまったそうです。

こうして、およそ4年をアメリカに、1年をフランスに過ごし、帰国後には上述の二冊を発表。

しかし、『あめりか物語』の成功とは反対に、『ふらんす物語』は刊行直後、発禁処分を受けました。

現代の基準で読めば、その内容にさしたることはないのですが、その原因は性的描写ではなく、日本の外交官や民間駐在員の出る場面にあるとの説が有力なようです。

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『ふらんす物語』の各短編には、ビゼーやプッチーニの音楽が小道具として出てきますが、荷風とクラシック音楽との関係は本編よりもその『付録』に色濃くでております。

これは初版時から付された文章で、荷風は、相当な頁を割いて、西洋音楽史、パリやニューヨークの歌劇場、交響楽団などを紹介しています。

付録の冒頭を引用いたしましょう。

遠く独り、欧米の空の下に彷徨うとき、自分が思想生活の唯一の指導、唯一の慰藉となったものは、宗教よりも、文学よりも、美術よりも、むしろ音楽であった。

荷風の、音楽への思いが伝わります。

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上述の『附録』で、荷風は当時の新鋭作曲家として、R.シュトラウスドビュッシーを詳述しておりますが、本日は、前者R.シュトラウスを取り上げて、名盤ご紹介と参りましょう。

文中、R.シュトラウスのオペラ第一作の『グントラム』や、当時の最新作品であった『サロメ』にも触れておりますが、当然、20世紀の冒頭であれば、殆ど交響詩作家としての記述ですので、ここでも管絃楽曲集のご紹介で。

まずは、初めてR.シュトラウスの浩瀚な録音を作ったR.ケンペのまさしくその録音集から。

これは、9枚組みのセットで、『ツァラトゥストラかく語りき』、『ドン・キホーテ』といったお馴染みの名曲はもとより、ホルン、オーボエ、ヴァイオリンそれぞれの協奏曲、ピアノを伴った『ブルレスケ』などのほか、マイナーな『マクベス』『クープランにもとづく舞曲』まで網羅。

オーケストラは、R.シュトラウスの数々の作品の初演を行ったドレスデン歌劇場管弦楽団チェロのポール・トルトゥリエやヴァイオリンのマックス・ロスタルといった名手も参加しています。

Strauss: Orchestral Works [Box set]
Rudolf Kempe(Cond) / Staaskapelle Dresden
P.Tortelier(Vc), M.Rostal(Va)他
輸入盤

別の録音のご紹介は、R.シュトラウスとは個人的にも親しかったカール・ベームのもので。

こちらは、R.シュトラウスの主要管弦楽曲、ソプラノのリサ・デラ・カーザを迎えての『四つの最後の歌』のほか、R.シュトラウスが特別に敬愛していたモーツァルトの演奏も併せたセットになっています。最後の8枚目にはベーム自身が語る自らの半生記を収録。

Karl Bohm Conducts Mozart and Strauss [Box set]
K.Bohm(Cond) / Staaskapelle Dresden, Wiener Philharmoniker他
輸入盤


ケンペの録音は、意外(?)に壮大・華麗ながら、中・低音がしっかりしていて、華やかさに流れないよさがあると思います。

ベームの録音は、アーティキュレーションが巧みなのでしょうか、《ティル・オイレンシュピーゲル》など、自分には絵本を見せられているかのようにストーリーが浮かんできます。

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さて、次回は引き続き荷風の『附録』をもとにして、こんどは書名にもふさわしく、フランスの作曲家・作品を取り上げたいと思います。

また、ご覧いただければ、幸いです!





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