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ルキノ・ヴィスコンティ監督 『山猫』 (1963年、伊・仏)

クラシック音楽と映画と言えば、ヴィスコンティ監督の諸作品ははずせません!

今回採り上げる『山猫』は、近年、完全復元版として、カットされた20分あまりの映像を入れ直して再発売されました。リンク先もそちらになっております。先日、記事を書くにあたって、この復元版で見直しましたが、映像も以前のものより鮮明になったと感じました。およそ10年ぶりに見ましたが、やはり、名作だという思いを新たにしています。

時は1860年イタリア統一戦争最中のシチリアが舞台。

主人公は、当地の大貴族サリーナ公爵。豪華な生活を見せながらも、公爵に終始哀愁が漂うのは、貴族階級の没落を予想しながら、旧来の文化への愛着を捨てきれないからこそ。この公爵が、時代の変化を前になにを考え、どう処したのか、これがストーリーの根本です。

名作というのは、ただ単に主題が歴史的だとか、作風に娯楽要素が乏しく、上品だということではありません。見どころは豊富です。

まずはシチリアの景色に目を奪われますが、ヴィスコンティ監督は、舗装を石畳に戻し、TVアンテナや電柱も隠したり、取り払ったりして、当時の風景を再現したそうです。貴族出身のヴィスコンティならでこその、衣装や室内空間の再現も見事なもの。

個々の登場人物の感情や関係を描く繊細な演出も素晴らしいもので、私が改めて感銘を受けたのもこの点です。俳優のちょっとした仕草やイントネーションが、セリフ以上にさまざまなドラマを語りますが、今時こんな演出ができる監督がどこにいるだろうかと思わせます。

キャストを少々ご紹介すれば、サリーナ公爵にバート・ランカスター。公爵が未来への希望を託す甥タンクレディに若きアラン・ドロン。そして、タンクレディと結ばれる金満家出身のヒロイン アンジェリカには、これまた若く瑞々しいクラウディア・カルディナーレ。これぞ映画!!という美男美女ぶりでもあります。

余談ではありますが、ジャック・ベッケルの傑作『肉体の冠』で主人公を演じたセルジュ・レジアーニが、サリーナに忠実なオルガン奏者の役で出演しています。映画好きの方には、「おっ!」と思われた方もいらっしゃるかも知れません。

原作は、シチリアの貴族ランペドゥーサの長編小説。ランペドゥーサは、祖父をモデルに『山猫』を書いたそうです。

生涯で作品はこれ一つ。本人が出版を拒んでいたために、死後の出版となりましたが、イタリアでは大ベストセラーとなったと言います。

映画には出てこない背景などもわかりますし、小説としても大変面白いものです。


*****

『山猫』では、ニーノ・ロータが書き下ろした管弦楽曲を主に使用。*1

その他には、ジュゼッペ・ヴェルディのオペラ《椿姫 La Traviata》の曲が数カ所出てきます。

終盤の舞踏会での名場面で使われたワルツは、私も今回の復刻版の解説を読んではじめて知りましたが、偶然発見したヴェルディの未完成のワルツを元にロータが手を加えて完成したものだそうです。

1813年に生まれ、1901年に没したヴェルディはまさしく『山猫』の時代を生きた人間。

イタリア統一の文化的アイコンともなり、実際、新生イタリア王国のの初代首相カブールに乞われ、議員の一人ともなっています。この映画で音楽を引用するのは、まことにふさわしい次第です。

音楽之友社から刊行中の『作曲家◎人と作品』シリーズから出ているヴェルディの評伝は、時代背景についてもまとまりよく、飽きさせずに読ませます。


*****

では、ここまででも随分長くなりましたが、ヴェルディ《椿姫》の名盤のご紹介!

激しいヴィオレッタ - 改心する娼婦であるヒロイン - は、マリア・カラスの情念のこもった名演で。

カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 / ミラノ・スカラ座
マリア・カラス、ディ・ステファーノ他
国内盤(1955年ライブ)


もう少し落ち着いた感じではセラフィン指揮の下のデ・ロスアンヘレスのヴィオレッタは如何でしょうか?情念よりも心の純粋性がでるような歌になっています。

Tulio Serafin(Cond) / Roma Opera Orchestra
Victoria De Los Angeles, Carlo Del Monte他
輸入盤


宴の後の悲しさといったイタリア・オペラ特有の詠嘆調はあまり感じませんが、快速のテンポで躍動感溢れるカルロス・クライバー盤も評判です。ここでのヴィオレッタはイレアーナ・コトルバス

カルロス・クライバー指揮 / バイエルン国立管弦楽団
H.コトルバス, P.ドミンゴ他
国内盤
輸入盤

なお、オペラはDVDで見たいという方には、2005年ザルツブルグ音楽祭のLive盤をお薦めしたいと思います。ヴィオレッタはアンナ・ネトレプコ、アルフレードはローランド・ビリャソン。いまや大人気のペアと言っても良い二人。

演出はモダーンなもので、そう聞くと、ちょっと苦手に思う方もいらっしゃるやも知りません。私もどちらかと言えば、そう思う方ですが、この作品はかなり楽しんで見ました。

色や小物による象徴もなかなか上手いですし、その他にも現代風ならではの、”大胆な”演出が楽しませます。家人と見ましたが、日頃、オペラに関心の彼らもすっかり見入っておりました。


*1 ニーノ・ロータの映画音楽集として、リカルド・ムーティー指揮の録音なども出ております。





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