二ノ宮知子『のだめカンタービレ』を題材に、Look4Wieck.comのおすすめ名盤・名著をご紹介しております。この度は第9巻 Lesson 47〜52!
のだめを契機にいろいろ聞くぞ!でも、何から聴いたら・・・とお迷いの方に、楽しんで頂けたら幸いです。書き手の趣味がありますので、そこはご容赦を!
二ノ宮知子『のだめカンタービレ』第9巻 曲目Index
Look4Wieck.comが選ぶ、迷ったときのおすすめ名盤《第9巻》Lesson 47〜49
- 巻頭扉絵の楽譜&Lesson47) ロベルト・シューマン:ピアノ・ソナタ第2番 ト短調 Op.22
- Lesson47) ストラヴィンスキー:《ペトルーシュカ》からの3楽章
- Lesson47) ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 Op.57《熱情》
- Lesson47) モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 K.310(300d)
- Lesson49) ドビュッシー:《牧神の午後への前奏曲》
- Lesson49) サラサーテ:カルメン幻想曲 Op.25
- Lesson49) R.シュトラウス:交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》 Op.28
- Lesson50) ベートーヴェン:交響曲第7番 Op.92(既出。第2巻の該当部分へ)
- Lesson51) シューベルト:ピアノ・ソナタ第16番 イ短調 D.845(既出。第8巻の該当部分へ)
- Lesson52) ショパン:24の前奏曲 Op.28 第21曲
- Lesson52) ショパン:練習曲 Op.10-4 嬰ハ短調(既出。第8巻の該当部分へ)
◎ロベルト・シューマン:ピアノ・ソナタ第2番 ト短調 Op.22
巻頭扉絵の楽譜&Lesson47 のだめ マラドーナ・ピアノ・コンクール本選の第2曲。
おすすめ名盤:
ソナタという古来の形式に従いながらも、シューマンらしく自由に移ろう曲。情熱的な第一楽章、夢見るようで少しもの憂げな第二楽章、そして、短い和音の変わった第三楽章を超えると、激しく舞踏する終楽章です!
輸入盤 マルタ・アルゲリッチ 独グラモフォン ピアノソロ録音集(8枚組)
激しく情熱的、夢見るような・・・となれば、まず一つ目は、アルゼンチン出身の女性ピアニスト マルタ・アルゲリッチの録音。この8枚組のCD3に収録さています。このセット、価格が新譜1〜2枚分と安価にして、リスト ロ短調、ショパンの前奏曲その他 名演・名曲揃いでさまざまピアノ曲を聴いてみるにも適しており、第一におすすめです(収録曲詳細は、こちらをご参照ください)。
リヒテル(P) リヒテル・イン・イタリー~シューマン:蝶々、ピアノ・ソナタ第2番、他
同じくユニークで長らく名盤とされたスヴャトスラフ・リヒテルのライヴ盤。こちらはこちらでライヴのリヒテルらしく弾き間違いも辞さずという演奏。聴く方もそんなことは気にせず、リヒテルらしい緩急と強弱のドラマに惹き込まれます!
ヴェデルニコフ(P) ロシア・ピアニズム名盤選24 ヴェデルニコフ/シューマン
特別にもう一つ。リヒテルの同僚であったロシアのピアニスト アナートリー・ヴェデルニコフの演奏。上の二人が暖色の炎とすれば、こちらは青みがかった炎。上の二つを聴いた後では、「落ち着いた」と聞こえそうですが、これはこれで別の面白さに溢れています。シューマンが破棄した、もともとの終楽章も収録されていることも魅力。
おすすめ書籍:
藤本 一子 著『作曲家◎人と作品 シューマン』
200ページ強の中に、伝記、作品解説、作品目録、参考文献と充実した内容の音楽之友社作曲家◎人と作品シリーズ。本書シューマンでは、特に作品目録で室内楽や声楽曲を詳しく紹介しているのがシューマン好きには嬉しいところ。シューマンを聞き進めるにあたって、頼りになる一冊です。
◎イゴール・ストラヴィンスキー:《ペトルーシュカ》からの3楽章
Lesson47&48 のだめ マラドーナ・ピアノ・コンクール本選の第3曲。
おすすめ名盤:
マウリツィオ・ポリーニ(P) ストラヴィンスキー:《ペトルーシュカ》からの3楽章ほか
20世紀後半のピアニストの一つの極北 イタリアのピアニスト マウリツィオ・ポリーニの名盤。超名盤と言ってもよいでしょう。初めて聴いた驚きがまだ鮮明な方も多いのでは?最初の一音から、すっかり惹き込まれ、おもちゃ箱をひっくり返したような雰囲気を颯爽と駆け抜けます。
ゲルギエフ指揮 ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ、他
ピアノ版を聴いた後に、もともとの管弦楽曲を聴きたい!と思うもの。ポリーニのあの快速に跳ねるリズムの心地よさは、管弦楽曲では実現が難しいですが、色彩のあざやかさと空間的な広がりは、管弦楽曲ならではです。管弦楽版のおすすめですと、例えば、常識的な「美しさ」の規範をはずれる独特な感覚で、にぎやかでユーモラスに(?)曲を作るゲルギエフ盤は如何?
おすすめDVD:
輸入盤 DVD Stravinsky : Final Chorale&Schoenberg:Five Orchestral Pieces
ストラヴィンスキーの書籍は現在入手が困難。そこで、ちょっとマニアですがかなり自信をもっての推薦です。音楽ドキュメントを二本入れたこの作品。前半は、ストラヴィンスキーの木管の交響曲のリハーサルを作曲家自身が立ち会うというドキュメント。後半は、指揮者ギーレンやピアニスト兼作曲家のC.ローゼンが、シェーンベルクの五つの交響楽を仕上げるもの。いろいろ専門的で、英語で聴かざるを得ず、私も歯が立たないところが多いのですが、「現代音楽を聴きたいけれど、どう楽しんでいいか判らない・・・」という方には、さまざまヒントや切っ掛けを与えてくれるドキュメントでは?
◎ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 Op.57《熱情》
Lesson47 マラドーナ・ピアノ・コンクール本戦 ほかの出場者の曲。
言わずと知れたベートーヴェンの所謂中期の名曲です。
おすすめ名盤:
ベートーヴェンのソナタはぜひ全曲を!という方針でご紹介しております。ここでは下の二つの全集をご紹介しますが、あわせて、第1巻のソナタ第8番《悲愴》Op.13に関してご紹介した二つもご覧下さい。
輸入盤ウィルヘルム・ケンプ独奏 ベートーヴェン・ピアノソナタ全集(1950年代モノラル録音)
ケンプは10年ほど経た後、ステレオ盤でも全集を出して居り、どちらを取るかはファンでも好きずきあるところ。こちらのモノラル録音全集は、ケンプがつける細かな変化がよく見え、録音された音色も好きで、わたくしはよく耳にします。モノラル盤でも、ステレオ盤でも、柔らかな音、幽玄とでもいいたくなる雰囲気などなど、いかにもケンプ独特のもの。
ウィルヘルム・バックハウス独奏 ベートーヴェン・ピアノソナタ全集(1950年モノラル録音)
1958〜1969に録音されたウィルヘルム・バックハウス二度目の全集。29番《ハンマークラヴィーア》のみモノラル盤を流用。有名で長らく多くの方に愛聴されてきた名盤。この録音には安価な輸入盤があり、紹介記事を別途書いて居りますので、リンク先の詳細記事をぜひご覧下さい!
おすすめDVD:
輸入盤DVD バレンボイムのベートーヴェン マスタークラス(2pc)
輸入盤で英語で聴かざるを得ませんが、バレンボイムがラン・ラン、カドゥーシュ他の若手ピアニストを集めての、ベートーヴェンのソナタ公開マスタークラスです。大変面白い作品です。バレンボイムの言葉と模範演奏から、曲をどう捉えるか、どう表現するか、聴いていてさまざま得るものが多い内容。専門的な内容にも立ち入りますが、中々におすすめです!
◎ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 K.310(300d)
Lesson47 のだめ マラドーナ・ピアノ・コンクール本選の第1曲。
モーツァルトが書いたクラヴィーアソナタに短調の作品は二曲ありますが、その内の一曲。哀しげでいて、やや激しさをもった出だしなど一度聴いたら、忘れ難いソナタです。
おすすめ名盤:
輸入盤ファン・オールト独奏:フォルテピアノによるモーツァルト鍵盤作品全集(14枚組)
既にご紹介済みですが、モーツァルトの四手のまでのいわゆるピアノ作品をすべて収録したこのBoxセットがやはりおすすめ!今後、のだめにさまざまなモーツァルトのピアノ曲が出てきてもカバーすることができますし、価格的にも、内容的にも今現在は他に変え難いもの。
通常、耳にしない初期のソナタも面白いですし、バッハ研究の末に生まれた前奏曲とフーガ K.394などの半ば埋もれた名曲が、モーツァルトの印象を変えることでしょう。
フォルテピアノは現代ピアノの前身ですが、決して未熟な楽器ではありません!響きはクリアーで、軽やかな表現も、迫力ある表現も十分。弦が震える様子が伝わるこの音を聴くと、その後は、現代ピアノが強く聞こえ過ぎるかも知れません。
輸入盤なので、英・独・仏語になりますが、ありきたりの伝記で濁さない充実した解説も魅力的。
おすすめ書籍:
岡田 暁生 著『ピアニストになりたい! 19世紀 もうひとつの音楽史』
19世紀後半〜20世紀前半あたりまでの価値観をくつがえす内容を一般に判り易く説明した『西洋音楽史 ―「クラシック」の黄昏』(リンク先の記事で詳細をご紹介しております)の著者 岡田 暁生氏の2008年発表の好著です。やや試論的な部分もありますが、19世紀に入っての市民社会や価値観の変化と、それに呼応する音楽の世界での変化を、ピアニストおよびピアノ教育の視点から説明していきます。我々自身が当たり前と思っている価値観も、またゆさぶられる書物と言えましょう。
◎クロード・ドビュッシー:《牧神の午後への前奏曲》
Lesson49 RSオーケストラ2004 New Yearコンサートの曲。
1890年代前半に作曲された、ドビュッシーらしいスタイルが感じられる最初期の管弦楽曲。詩人のマラルメがこの曲に贈った詩に曰く、「森の神よ、最初の吐息で / おまえの笛が見事に鳴ったとしたら / ドビュッシーがそこに吹き込むはずの / 光をすべて聞いたからだ」(松橋 麻利 著『作曲家◎人と作品 ドビュッシー』P.59)
おすすめ名盤:
マルティノン指揮/パリ管弦楽団ほか ドビュッシー&ラヴェル:管弦楽曲集(8枚組)
この曲に関して、特に避けたいと思う録音を聴いた事がおよそなく、どれを選ばれても十二分に楽しめるものばかりと思っております。それでも、一つおすすめするのは、フランスの指揮者マルティノンによるドビュッシーとラヴェルの管弦楽曲集(8枚組)。ドビュッシーで言えば、《牧神の午後》以外、《海》《夜想曲》ほかと主要曲は漏らさず収録。勿論、ラヴェルも同様です。世紀末前後のフランスのもっとも重要な作曲家の管弦楽をひとまずすべて耳にしたい!という向きには、価格的にも(大変安価!)もっともおすすめしやすいセットです。
おすすめDVD:
クロード・ドビュッシー著『音楽のために ドビュッシー評論集』
ドビュッシー・ファンにおすすめしたいのが、ドビュッシー自らが筆を取った新聞への寄稿その他をあつめた音楽論集。文章を書いても、ドビュッシーらしいのがまた感心するところで、音楽の専門家でなくても十二分に楽しめる書籍です。抄訳版が『ドビュッシー音楽論集―反好事家八分音符氏』というタイトルで、岩波文庫から出て居りますが、内容の充実度から、上の単行本をおすすめしたいところ。
ただ、価格も大きくことなりますので、両著の内容を対応表で比較した弊サイトの記事をご検討の際には、ご活用下さい。
◎パブロ・デ・サラサーテ:カルメン幻想曲 Op.25 (ヴァイオリンとピアノまたは管弦楽)
Lesson49 RSオーケストラ2004 New Yearコンサートの曲。「オレの真っ赤なルビー・・・・・・」
おすすめ名盤:
ヤッシャ・ハイフェッツ(Vn) ツィゴイネルワイゼンほか~ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリン
ビゼーの《カルメン》を元にヴァイオリン曲にしあげた作品。こういうものは、唖然とほど名人のヴァイオリニストによる録音がおすすめです。この往年の名ヴァイオリニスト ヤッシャ・ハイフェッツについては、第6巻で書いたおすすめもご参照のほどを!
輸入盤DVD イーダ・ヘンデル(Vn) イーダ・ヘンデルの芸術 Art of Ida Haendel
やはり女性ヴァイオリニストで聴きたいという方には、実際、真っ赤なドレスで堂々と奏でるイーダ・ヘンデルのDVDをどうぞ。リリース元vaimusic.comでカルメン幻想曲の視聴もできます。このDVDは実際は、リージョン0なのでご安心を。
あの個性に、この迫力、弱々しさのかけらもない様は、まさにイーダ・ヘンデルの独特さと思います。
おすすめ書籍:
DVD ブルーノ・モンサンジョン製作『アート・オブ・ヴァイオリン』
すでに幾度かご紹介したこのDVD音楽ドキュメント。コメンテーターに上のイーダ・ヘンデルも登場。ハイフェッツほかさまざまな往年のヴァイオリニストの映像を見ながら、ヘンデルの他、メニューイン、ギトリス、パールマン、ヒラリー・ハーンらがコメントするという、ヴァイオリンの魅力満載のDVDです。未見であれば、ぜひぜひ!という作品。他人様へのプレゼントにも最適と思います。
◎R.シュトラウス:交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》 Op.28》
Lesson49 RSオーケストラ2004 New Yearコンサートの曲。
1888年の《ドン・ファン》、1889年の《死と変容》に続けて、1895年にR.シュトラウスが作曲した傑作交響詩。情景を描かないと曲なんて書けないと自ら語っていたR.シュトラウスの、音の描写力をお楽しみください!
おすすめ名盤:
輸入盤 R.シュトラウス指揮(自作自演) ドン・ファン、ティル・オイレンシュピーゲル(1929)、町人貴族(1930)
R.シュトラウスの名作《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》の自作自演というと、ウィーン・フィルとの1944年盤が有名です。しかし、敢えてLook4Wieck.comが注目したいのは、1929年ベルリン国立歌劇場管弦楽団との自作自演録音。勿論、どちらもさすが作曲者が指揮するだけあって(?)、情景が目に浮かぶ面白い演奏。
この1929年と1944年録音との差で、ちょっと面白いのが1929年の方が、指揮者R.シュトラウスの指示と思われるちょっとしたフレージングの取り方など聞こえ易いこと。編成が小規模だったり、さまざま要因があるかと思いますが、テンポの変動もより判り易く、じっくり聴き比べてみると面白いと思います。
なお、このCDに併収されている、1930年録音の《町人貴族》。ヴァイオリン・ソロで、なんとソロ活動数年目のヨーゼフ・ヴォルフシュタールが弾くという珍品なのです!
R.ケンペ指揮/ドレスデン国立管弦楽団 R.シュトラウス:アルプス交響曲ほか
もう少し新しい録音で探すなら、標準盤と言えそうなものですが、初めてR.シュトラウスの浩瀚な管弦楽曲集を録音したドイツの指揮者R.ケンペによる録音。バランスがよく、丁寧で、それでいてこじんまりせず、意外とドラマティック。ケンペ指揮のR.シュトラウスの録音をまとめた安価な輸入盤があって、既に詳細曲目をご紹介済み。お時間あれば、リンク先もぜひご覧下さい。
おすすめ書籍:
山田 由美子 著『第三帝国のR.シュトラウス―音楽家の“喜劇的”闘争』
戦時中、第三帝国音楽局総裁の地位にあったR.シュトラウス。既存のイメージは、露骨に当時の政府に肩入れして、保身どころか栄達を図ったといったものでしょう。しかし、「ほんとうにそうなのか・・・」が本書のテーマ。本書を読んでも、「それでも消極的過ぎる」・「”喜劇的”などとすませる時代か?」とお思いの方もあると思います。ただ、今現在の立場から見るのではなく、ひとつ著者の考え方を仮にでも受け入れつつ、当時のR.シュトラウスの立場に身を置いて、「自分だったら・・・」と身の処し方を想ってみるのは、それほど悪くないことと思います。
◎ショパン:24の前奏曲 Op.28 第21曲 変ロ長調
Lesson52 のだめの実家を訪ねた千秋が弾く曲。「まっ白なショパン・・・・・・もっと・・・・・・」
1838年から、恋人ジョルジュ・サンドと共にマジョルカ島に移り住んだ28歳のショパンが書き上げた傑作。なぜ千秋がこの第21曲 変ロ長調を弾いていたか・・・答えは簡単、この曲の発想記号がカンタービレだからです。
おすすめ名盤:
園田高弘(P) ショパン:24の前奏曲
国内演奏家の録音がめったに売れない弊サイト。それを踏まえて敢えて推薦したいのが、前奏曲をショパンのもっとも重要な作品と考える園田高弘氏の名録音。第17番の後半左手の低音の入れ方など特徴的ですが、高い音できらびやかにまたは夢見がちに遊ぶというより、低い音がしっかりとして地に足のついたショパンです。前奏曲の名演は数多くありますが、これを選ばない理由もない!と、つよく推薦したいのであります。
サンソン・フランソワ(P) ショパン:ノクターン(夜想曲)集&24の前奏曲
園田氏の前奏曲と並んで、わたしが気に入っているのがこのフランソワの前奏曲。「気まぐれ」・「エスプリ」・「気分屋」等々と形容されることの多いフランソワですが、これを聞くと、随分印象も変わるのでは?
フランソワは一度気に入ったら、すべて聞いてみたいと思わせる魅力の持ち主。輸入盤ですが、フランソワ EMIショパン録音集10枚組がセットでお買い得boxが出ております。
アルフレッド・コルトー(P) ショパン:24の前奏曲ほか
上の二人の録音に触れたら、取り上げずに素通りがし難いのが、こちらのコルトーの録音。二人がこの前奏曲の演奏をよく知る環境にあったのは、経歴を見ても明らかと考えて良いと思います(この録音とそっくりと言う訳ではありません)。
いまのピアニストに比較すれば、コルトーの技術的欠陥はいかんともしがたいもの。録音年代が大変古いため、ノイズがひどく鑑賞に耐えかねるという方もいるはずです。しかし、最初の一枚にとは申しませんが、上の二人の演奏に感心することがあって、「もう一枚別の前奏曲を」とお思いになったら、宜しければこの古い名品をご一考ください。
おすすめ書籍:
園田 高弘 著『ピアニスト その人生』
2004年、76歳で逝去したピアニスト園田高弘の自伝と50年代の欧州滞在中の日記からなる著作。園田の音楽観、演奏論が感銘深く、読み手も様々に考えさせられます。
今世紀前半の日本のピアノ音楽受容の歴史、20世紀前半の半ばの欧州音楽事情などが判る上でも良書と言えましょう。フランソワやチッコリーニが出入りしていたマルグリット・ロンのサロンの模様、指揮者カラヤンやチェリビダッケに関する述懐などなど、読みどころ満載です。
のだめカンタービレ第9巻についての、Look4Wieck.comのおすすめ名盤・名著でした。
最新刊にはまだまだ急がねばでありますが、なにはともあれ一風変わったご紹介になっていれば幸いです。タイムリーなご購読には、ぜひRSSをご活用ください。
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